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夏休み企画②
案の定予定の部分まで書けませんでしたが、一応キリのつくところまで書いたので上げておきます。今回後半の文章がかなりぐだぐだなので、後日メインに移すときは書き直したいです…。

*注意*
・反抗期でそっけないジャンさんなんて無理!
・可哀相なジュリオは見たくない。

上記に当てはまる人は閲覧注意というか回避をオススメします。特にジュリオ。
後々フォローはしますが、今回べっこり凹ませてしまいました。

まあ見るだけ見てやろうという、広い心を持てる方は続きからどうぞ。

 



「なんだ。またアンタか」

どれほどの間見つめていたのか。変声期前の少し高めの声にはっと気がつけば、見慣れた蜂蜜色が胡乱気にこちらを見ていた。

「おやおや、酷いな。待たせたことを怒ってるのかい?」

軽く肩を竦めて見せるベルナルドに、呆れたように視線を逸らす姿を目で追ってからどういうことだと肘で突く。
物言いたげなのはジュリオとイヴァンも同様でこの男がその視線に気付かないはずも無いのだが、それらを綺麗さっぱり無視したベルナルドはわざとらしい程の笑顔を浮かべて金色の子供の肩に手を置いた。

「後で紹介したいのがいると言っただろう? 彼らがそうだよ」

その言葉を受けてちらりと寄越された視線に思わずどきりとする。すぐ興味を失ったようにその視線は外されたが、動揺の収まらない自身の核心部分はそんな些細なことの連続に先程から一つの可能性を叫んでいた。こいつは。

「まずはお前たちに紹介しようか。彼は聖リタ修道院のテレサ院長から暫くうちで預かることになった…ジャンカルロ・ブルボン・デル・モンテ君だ」



******



ジャンカルロ・ブルボン・デル・モンテ


ベルナルドがほんの一呼吸置いて告げたその名が示す人物を、俺達は、俺は唯一の人として知っている。
だがそんな言葉を聞く前から、俺は過去の眩しいばかりの記憶と、本能とも呼べる部分で彼の人のことを悟っていた。


例えどんな姿だとしても、間違えようも、ない。俺が、この人を、間違えるはずがない…。


「ジャン、さん……」


記憶よりもいくらか成長したその姿。何故そんな姿に、という疑問はあったがこの人がジャンさんその人だということだけは確信を持って言えた。無意識に紡いだ名前を拾ったジャンさんが再び視線を動かせば、それを待っていたようにベルナルドがこちらの自己紹介を促す。
それに応えた次席幹部のルキーノが平然を装って…その目はジャンさん本人と認識しているようだったが、確かに動揺を孕んでいた…簡単に名を告げ、いくつか言葉を添えると次を促すように視線を寄越した。

「あの、ジュリオ・ディ・ボンドーネ…です。ジュリオと、そう呼んでください」

何故か刑務所で再会を果たしたときにも無かったほどの緊張に襲われ、声が震える。
細くなった声にちゃんと伝わっただろうかと恐る恐る様子を窺えば、呆れたような色を滲ませて斜に構えるジャンさんの姿があった。

「アンタ、俺みたいな年下相手に何をそんなビビッてるワケ?」

刺さるような鋭い声音に、また一つ身を震わせる。
いつもの砂糖菓子のような甘さで名を呼ぶ声はそこにはない。けれど。

「ジャンさんは…俺にとって、とても、大事な人ですから」

例え何があろうと変わることのない真実を、噛み締めるように口にする。
そう、例えジャンさんがどれだけ変わろうと、この思いだけは決して変わらない。
見つめる視線にも自然と熱が篭って、気付けばぼんやりと滲む視界にも構わずただひたすらに視線を送っていた。
そうして暫くの間無言で見つめあい、ゆっくりと開かれる唇に意識を傾けて――。

「そんなこと初対面のヤツに言われても、正直重いっつーか、ウザい」
「…………ッ!」
「で? そっちのショーカイとやらはこのくらいにして、いい加減事情を説明して欲しいんですケド?」

あっさりと逸らされた視線。何やら文句を言っているイヴァンのがなり声。それら全てが遠退く中、先程のジャンさんの言葉が何度も頭を巡った。
ジャンさんの記憶が見た目通りの状態だと言うのなら、初対面と言われることは仕方が無い。あるいは初めて出会ったときのことを覚えている可能性はあったが…それを言っても詮無いことだ。
しかしその後に続いた言葉は、今までジャンさんに言われた言葉の中でも群を抜いて胸に刺さるもので。もっとも過去も成長してからも、ジャンさんに悪意のこもった言葉を投げかけられた事など無いのだが、それだけ衝撃的なものだった。

「ジャン、さん」

小さく零れた声は、誰にも届くことなく消えていく。


俺の気持ちは、貴方の、邪魔になりますか…?


ぽかりと胸に浮かんだ疑問に、答えてくれる相手は決してこちらを見ることは無かった。


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